2000/05/19
需要の増加する「パンガシウス」
「パンガシウス」という魚は、東南アジアを中心に生息しているナマズの仲間で、正式名称は「パサ」といい、ナマズ目パンガシウス科に属する淡水魚のことです。
海外の国でも一般的に食べられており、日本では海外で養殖されたものを冷凍輸入されています。特に、日本に輸入されているものはほとんどがベトナム産だそうです。
「パンガシウス」の味はとても淡白で、生臭さやクセがありません。白身の「パンガシウス」は、どんな調理法にも合う優秀な食材です。食感は鶏むね肉や鶏ささみに似ていて、しっとりとした弾力があります。
「パンガシウス」の栄養成分
「パンガシウス」は、高品質のたんぱく質の優れた魚です。たんぱく質は、筋肉の成長と修復、さらには全体的な健康維持に不可欠な栄養素です。また、オメガ3脂肪酸を含んでおり、これは心臓の健康や脳機能の向上に役立つことが知られています。さらに、ビタミンB12、ナイアシン、セレンなどの重要なミネラルとビタミンも豊富に含まれています。
かつて、日本でもナマズ食が発展していましたが、現代の日本ではナマズ食はあまり馴染みがありません。その一方で、「パンガシウス」の輸入量は2017年にかけて上昇しており、小売店で見かける機会も増え、とても需要が高まっている魚の一つです。
スーパーによっては「パンガシウス」とラベルを貼らず、ただの「白身魚」と表記してあるものもあるため、もしかしたら知らないうちに食べたことがあるかもしれません。白身魚のフライなどとして総菜やお弁当にもよく使われています。
「パンガシウス」のおいしい食べ方は?
フライ・ムニエル・天ぷら・漬け魚など、色々なメニューにお使い方いただけます。特にフライにするのが最もポピュラーな料理法です。
身がさっぱりとしているので、煮付けのようにこってりとした料理にも適しています。醤油や砂糖で甘めに味付けすれば、ご飯がすすむことまちがいありません。甘辛いタレが人気の蒲焼きにしてもおいしく、ウナギのような高級感ある味に仕上がります。
「パンガシウス」は比較的身がしっかりと締まっているので、調理をするときにも身が崩れにくく扱いやすいのが特徴です。
スーパーなどでは骨取り・皮なしの切り身で売られていることが多いので、手軽に料理することができます。
「パンガシウス」の養殖と持続可能性
「パンガシウス」の養殖は、世界中で増加しており、特にアジア諸国で重要な産業となっています。しかし、その養殖は環境への影響と持続可能性の問題を提起しています。
環境も人も大切にする「パンガシウス」とは?
(WWFJapanの資料より抜粋)
https://www.youtube.com/watch?v=UqmPHOXoMOI
ASC認証を受けた「パンガシウス」
「ASC認証」とは、環境に大きな負担をかけず、地域社会や人権にも配慮して操業している養殖場を認証し、その養殖場で育てられた水産物であることが一目でわかるよう、ラベルを貼付して消費者に届ける制度です。国際的な環境保全団体であるWWF(世界自然保護基金)は、水産物の消費を持続可能な形に改善していく具体策のひとつとして、この制度の普及に力を注いでいます。
養殖による水産資源の生産は年々、拡大しており、現在は、世界の水産物全体の半分が、養殖水産物によって占められています。しかし、こうした養殖の拡大は、同時に海洋環境への悪影響や労働環境の悪化、先住民の権利の侵害などの問題も引き起こしています。
今回、日本で発売される「ASC認証」を受けた「パンガシウス」は、ベトナムで完全養殖によって育てられているもので、養殖場の周辺の水質を悪化させていないか、広範囲にわたってモニタリングが行なわれるなど、「ASC認証」の基準に沿って、環境への配慮や労働者の権利保護などが厳しく審査された上で認証された魚です。