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LPAの会からのお役立ち情報  給与にかかる税金

2017/12/24

LPAの会からのお役立ち情報
給与にかかる税金
 
*「所得税の基礎知識」をテーマに5回シリーズで掲載します。


 
《新》シリーズその ①
 これから年末調整を迎える時期ですので、所得税の基礎的な知識について学んでいきましょう。2013年に掲載したものの改訂版をシリーズで掲載します。
 
◆第1回目は、「収入と所得、課税方法」がテーマです。
 所得税の納税額が決まるまでには4つの段階があります。

①収入―経費=所得
②所得―所得控除=課税所得
③課税所得×税率=算出税額
④算出税額―税額控除=所得税額
 
 まずはこの4つの段階を頭に入れて、それぞれの段階の内容を順を追って見ていきます。

(1)収入と所得
 所得税法では収入を10種類に分類しています。その収入を得るための経費を差し引いたのが「所得」です。給与収入の場合は、経費にあたる分を「給与所得控除」と呼び、収入の額によって自動的に額が決まります(特に大きい出費があったときは経費として申告することもできます)。「所得控除」という名前ですが、上の②に出てくる所得控除とは違いますので注意してください。

(2)課税のしかた
 10種類の所得はその特性により、課税のしかたも異なります。
①総合課税 …いくつかの所得を合算して課税する方法。赤字と黒字を相殺することもあります。
②分離課税 …他の所得と切り離し、独自に課税する方法。特に、収入が生じた時点で課税・天引きする方法を「源泉分離課税」といいます。

 種類 おもな内容  課税方法
 利子所得  預貯金や公社債などの利子  源泉分離
 配当所得  株式の配当金や投資信託の分配金  源泉分離
 不動産所得  土地や家屋の賃貸(事業者以外)  総合
 事業所得  農漁業、小売業などの事業  総合
 給与所得  給与やボーナス  総合
 退職所得  退職金  分離
 山林所得  山林の伐採や譲渡  分離
 譲渡所得  ①土地や建物の売却 ②上記以外の資産の売却  分離
 一時所得  生命保険金などの継続性のないもの  総合
 雑所得  ①年金 ②他のどの所得にも属さないもの  総合

(次号へ続く)
(はばたき2017年9月号掲載)



《新》シリーズその ②
第2回 所得控除
 
 同じ所得でも個人の状況によって生活に必要な経費は違ってきます。扶養家族が多い人や災害で被害を受けたりした人が重い税負担にならないよう、生活に必要ないくつかの経費を所得から差し引くことによって、納める税金を少なくすることができます。このような減額を「所得控除」といいます。所得控除は大きく2種類に分けられます。
 
◆人的控除
①基礎控除(納税者すべて)
②配偶者控除(配偶者の所得が38万円以下)
③配偶者特別控除(配偶者の所得が38万円超~76万円未満)
④扶養控除(16歳以上の親族を扶養している)
⑤障害者控除(本人または扶養親族が障害者)
⑥寡婦(夫)控除(配偶者と死別離婚した妻・夫)
⑦勤労学生控除(学生で所得が一定以下)
 
◆物的控除
⑧医療費控除(医療に関わる費用が10万円を超えたときなど)
⑨社会保険料控除(年金、健康保険などの保険料)
⑩小規模企業等共済掛金控除(個人型確定拠出年金掛金など)
⑪生命保険料控除
⑫地震保険料控除
⑬寄付金控除(認定された団体に寄付をしたとき)
⑭雑損控除(自然災害や盗難で被害を受けたとき)
 
 サラリーマンの場合、⑧医療費、⑬寄付金、⑭雑損控除を除く所得控除は、11月ごろに「給与所得者の扶養控除等申告書」という書類を勤務先に提出し、年末調整を受けます。提出後に状況が変わったり申告しなかったりした所得控除がある人は、確定申告(還付申告)をします。なお、天引きされていない社会保険料(扶養家族の国民年金など)、生命保険料、地震保険料控除を申請するときは、控除証明書が必要です。年金機構、保険会社等から送られてくる証明書はきちんと保管しておきましょう。
 
 税金は各個人の税金を負担する能力(担税力)に応じて課税されます。そのためにさまざまな優遇措置があるので、その仕組みを知らないと払う必要のない税金まで払うことにもなりかねません。また、税金には所得税の他に住民税もあり、合わせれば最低でも課税所得の15%を納めることになります。制度を知って納めるべき分だけを納めましょう。
 
 次回は、「給与所得者の扶養控除等申告書」に出てくる所得控除について、詳しく見ていきます。
(次号へ続く)
(はばたき2017年10月号掲載)



《新》シリーズその ③
第3回 扶養控除等申告書
 
 給与収入の人は11月頃に「給与所得者の扶養控除等申告書」を勤務先に提出しますが、年末調整では、これに基づいて次の所得控除をします。
 
*基礎控除(控除額38万円)
 所得のある人は誰でも受けられる控除です。給与収入の場合、給与所得控除(経費)が最低65万円認められているので、合わせて103万円まで税金はかかりません。なお、住民税では控除額が33万円なので、収入が98万円を超えると住民税がかかってきます。

*配偶者控除と配偶者特別控除
 配偶者の所得が38万円(給与収入103万円)以下であれば「配偶者控除」が、38万円超76万円未満であれば「配偶者特別控除」が受けられます(配偶者の収入が増えると段階的に控除額が少なくなります)。配偶者特別控除については、2018年度分からその範囲が拡大されます。政府は女性がもっと働くことを狙いとしているようですが、(扶養対象となる)103万円の壁や、(厚生年金や健康保険などの社会保険料を自分で払う)130万円の壁は変わらないので、どの程度働くのがいいかは総合的に考える必要があります。

*扶養控除
 16歳以上の子供や収入の少ない親族を扶養している場合、控除されます。控除額は、普通38万円ですが、大学生相当の19~23歳、70歳以上、70歳以上で同居の親は控除額が多くなります(年齢は12月31日現在)。

*障害者控除
 本人や扶養している家族が障害者の場合、控除されます。

*社会保険料控除
 社会保険とは国が保険者になる公的保険のことで、年金、健康、介護、雇用の4保険があります(労災もあるが保険料は会社持ち)。公務員は原則として解雇がないので雇用保険料は払いません。サラリーマンは給与から天引きされていますが、その他に子どもなどの国民年金を払っている場合は、申告して控除することができます。

*生命保険料控除
 自分や家族にかけている生命保険や共済、個人年金保険、民間の介護医療保険などの保険料は一部が控除になります。平成23年までに契約した分については生命保険と個人年金がそれぞれ控除額最高5万円(合計10万円)まで、平成24年以降の契約については、生命、個人年金、介護医療がそれぞれ4万円(合計12万円)まで控除されます。両方混じっている場合はどちらかに統一します。

*地震保険料控除
 火災保険などに地震保険がついている場合、地震保険料に相当する部分は控除の対象になります。また、平成18年以前に契約した、満期金がある10年以上の損害保険も一部が控除対象になります。
 
 *次号に続きます
(はばたき2017年11月号掲載)
 


《新》シリーズその ④

第4回 税額を計算する
    超過累進税率扶養控除等申告書
 
 所得から所得控除を引いた「課税所得」に税率をかけると所得税額が出てきます。税率は、ある金額まではある税率、それを超えた分には一段高い税率というふうに、所得区分の高いところには高い税率をかける方式で、これを「超過累進税率」といいます。
 
*簡単に計算するときは、「所得税の税額表(速算表)」に基づいて、課税所得金額×税率―控除額 の式で計算します。次の表は速算表の一例です(最高税率は45%)。

 課税所得金額  税率  控除額
 195万円以下 5%          0円
 195万円超 330万円以下 10%    97,500円
 330万円超 695万円以下 20%   427,500円
 695万円超 900万円以下 23%   636,000円
 
■年末調整と確定申告
 本来、税金は12月31日をもって収入が確定した時点で申告・納税するものですが、給与所得者の場合は、収入を予測して給与から天引きしています。この予測と実際のずれを精算するのが年末調整です。これで変更がなければ確定申告する必要はありません。しかし、中には確定申告しなければならない人や、申告した方がいい人もいます。
 
*確定申告しなければならない人
・給与年収が2,000万円を超える人
・2ヶ所以上から給与を受けていたり、給与以外の収入があったりする人
・年末調整をしていない人 など
*確定申告したほうがいい人
・年末調整しなかった所得控除や税額控除がある人
・年末調整後に扶養家族が増えた人(結婚、出産)
・年末調整にかからない所得控除がある人(医療費、寄付金など)
 
 後者は払い過ぎた税金を返してもらうための申告で、これを還付申告といい、確定申告の一種です。確定申告はふつう2月15日からの受け付けですが、還付申告は1月から受け付けてくれます。また、過去に申告していなければ5年間さかのぼって申告することもでき、さらに申告した後でも1年以内なら修正することができます。
 申告の詳細が知りたい方は、税務署に申告の手引きがありますし、国税庁のホームページで調べてもいいでしょう。申告書や明細書等もダウンロードできます。
 
 *次号に続きます
(はばたき2017年12月号掲載)
 


《新》シリーズその ⑤

第5回 申告による所得控除と税額控除
 
*医療費控除
 1年間にかかった医療費は、10万円を超える分について所得から控除することができます(限度額200万円。保険などで補填された分は除きます)。病院で治療にかかった費用だけではなく、必要に迫られた通院の交通費なども対象になります。どうかなと思うようなものでも一応領収書は取っておいたほうがいいでしょう。同一生計の家族の分も合算できます。
 2017年度からセルフメディケーション(自主服薬)推進のため、特定の医薬品の購入費用が控除対象になります。12,000円を超えた分が控除になるので、領収書(対象医薬品がわかるもの)を保管しておきましょう。平成33年までの特別措置です。

*雑損控除
 災害や盗難などで日常生活に必要なものが失われた場合、損失額を所得から差し引くことができます。損害保険等からの補填を差し引いた支出が5万円以上の場合、超えた分が控除されます。大雪の時に雪下ろしをしてもらった費用など、予防的なものでも申告してみて下さい。
 
*寄付金控除
 一定の団体等への寄付金も控除の対象です。控除対象の団体は、国や地方公共団体、認定のNPO法人、特定公益法人、政党、国会議員など。寄付金のうち2000円を超えた分が控除になります。
 
■税額控除
 所得税額を算出した後、税額から控除できるものがあります。これを「税額控除」といい、控除額がそのまま戻ってきます。税額控除はその時々の政策により、期間限定で設けられることが多いので注意が必要です。現在、税額控除にはおもに次の2つがあります。
 
(1) 住宅ローン控除
 住宅ローンを借り入れて、家を新築・改築したり、中古住宅を買ったり、または省エネ、バリアフリー、耐震などの改修をすると、借入金の一部の1%程度を5~10年間、税額から控除することができます(所得税額が限度)。住宅ローン控除はいったん確定申告をすると翌年からは年末調整で控除されます。

(2)市民公益税制 …選択による税額控除制度(寄付金の税額控除)
 平成23年度から、一定の団体への寄付は税額控除できる制度ができました。寄付金控除は所得控除にもありますが、税額控除できるものについてはどちらかを選択することになります。控除額は2000円を超える分の40%で、所得税の25%が限度です。一般的には税額控除のほうがお得です。豪華なお返しが問題視されている「ふるさと納税」は、所得税の他に住民税でも優遇措置があります。
【完】
 
 *次回からは「新テーマ」での掲載を予定しています
(はばたき2018年1月号掲載)

コープあおもり広報誌「はばたき」235号から239号までの5回に渡り連載したものです。
 

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